私が「地盤ドック」を始めた理由。家を売る前に、どうしても伝えたいことがあります。私は今、「地盤ドック」というサービスを通して、多くの方に「家づくりは地盤から始まる」ということをお伝えしています。ですが、実は最初からこの考えを持っていたわけではありません。住宅事業にも、最初はそれほど興味があったわけではないのです。あるきっかけで住宅事業のコンサルティングに参加することになりました。新しい事業に挑戦したいという気持ちもありましたし、「何か新しいことを始めなければ」という焦りもありました。期待と不安を抱えながら飛び込んだ世界でした。しかし、実際に始めてみると、私が思い描いていた家づくりとは少し違っていました。「この商品を使いましょう。」「今はこのデザインが流行っています。」「SNSを頑張れば集客できます。」そんな話ばかりが先行し、本当に家づくりに必要なことが置き去りになっているように感じたのです。もちろん、それらも住宅会社にとっては大切なことなのかもしれません。ですが、私の中ではどうしても違和感がありました。「家づくりって、本当にそんなことなのだろうか。」その答えが見つからないまま、住宅事業はスタートしました。制度改正も重なり、思うようには進みませんでした。多くの方に助けていただきながら、ようやく形になってきた頃、今度は集客という壁にぶつかります。ホームページを作り、Instagramも始めました。住宅会社らしく、おしゃれな施工事例も掲載しました。構造計算、耐震性能、高気密・高断熱…。「安心・安全な家づくり」を一生懸命発信しました。ですが、お客様の反応はほとんどありませんでした。その時、私は気付きました。大手ハウスメーカーや有名ビルダーと同じ土俵で勝負しても意味がない。勝ち負けの問題ではなく、私たちにしかできないことを伝えなければ、お客様には選んでいただけない。では、私たちだけにできることは何だろう。考え続けた末に、ようやく答えが見つかりました。私は15年以上、住宅会社ではなく地盤調査会社として仕事をしてきました。年間約4,000件。累計では数万件を超える土地を調査してきました。全国の大手ハウスメーカーや工務店、ビルダーが家を建てる前の土地を見続けてきました。地盤調査だけではありません。地盤改良工事。解体工事。住宅が建つ前の現場を何度も何度も見てきました。だからこそ分かったことがあります。家は建物だけで評価できるものではありません。どんなにデザインが良くても。どんなに間取りが素晴らしくても。どんなに耐震性能が高くても。支える地盤が分からなければ、本当の安心とは言えないのです。私は住宅事業を始めるまで、「地盤調査」と「家づくり」は別の仕事だと思っていました。ですが、自分自身が住宅を販売する立場になって初めて気付きました。家づくりは、実は地盤から始まっている。いや、本当は土地を選ぶ前から始まっているのです。お客様は土地を購入し、住宅会社へ相談に行きます。すると最初に始まるのは間取りの打ち合わせです。デザインの話になります。キッチンの色を決めます。住宅設備を選びます。もちろん、それは夢が膨らむ楽しい時間です。ですが、その土地にどれくらいの改良費が必要なのか。本当に安心して住める土地なのか。そこが分からないまま話が進んでしまうケースが非常に多いのです。私はその順番に疑問を感じました。だから考えたのです。「建てる前に土地を診断しよう。」それが地盤ドックの始まりです。まず土地を調べる。地盤を知る。改良工事が必要か判断する。その上で予算を考え、住宅会社と家づくりを始める。これが本来あるべき順番ではないでしょうか。さらに、当社では地盤ドックをご利用いただいたお客様に対し、地盤保証やボーリング調査、瑕疵保険、そして耐震等級3を基本とした家づくりをご提案しています。これは他社との差別化のためではありません。私自身が「ここまでやって初めて安心と言える」と考えているからです。実は住宅事業を始めた頃は、「年間5棟くらい建てられればいい」「利益も出るだろう」と考えていた時期もありました。ですが、その考えはすぐに間違いだったと気付きました。初めてご契約いただいた住宅は、利益どころか赤字に近いものでした。しかし、その経験が私を変えてくれました。家を売ることが仕事ではない。安心して暮らせる家づくりを支えることが仕事なんだ。その原点に気付かせてくれたのです。だから私は、これからも家の話をする前に地盤の話をします。デザインより先に地盤。価格より先に地盤。間取りより先に地盤。それが15年以上、数万件の土地を見続けてきた私の答えです。家は建て直せても、土地は簡単には変えられません。だからこそ、家づくりを考え始めたら、まず知ってほしいことがあります。「建てたい」と思ったら、まず地盤ドック。これが、遠回りをしてきた私だからこそ、自信を持って皆様にお伝えできる家づくりの第一歩です。